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地球や地域にも、そして家計にも優しい暮らしのために、少しのエネルギー(電気)で快適に過ごせる家をつくりたい―。そんな住まいの基準といわれているのが、「断熱等級(正式名称は、断熱等性能等級)」です。
しかし、「断熱等級をクリアするだけで、環境に優しく快適な家がつくれるわけではありません」と、地域密着の住宅設計会社sou’s designの代表取締役であり、一級建築士の貢繁幸(みつぐしげゆき)さん。福井にふさわしい、脱炭素な暮らしをかなえる家づくりについて考えよう。

断熱等級やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準値となるのが、「UA値(外皮平均熱貫流率)」。図1のように、屋根や壁、窓、床などの外皮から、住宅全体の熱がどれくらい逃げにくいかを数値化したものだ。福井の場合、新築住宅に義務化されている「等級4」のUA値は0.87※以下、最高等級「等級7」の場合は0.26※以下が求められる。
※池田町(地域4)は等級4で0.75、等級7で0.23以下が求められる。
「しかしUA値がいくら優秀でも、住宅全体の気密性能を示すC値(すき間相当面積)が伴わなければ、住まいの熱は逃げてしまいます(図2)。たとえるなら、UA値はセーター。分厚いセーターを着ても、冷たい風はセーターを通じて入り込みますよね。ウインドブレーカーの役割といえるC値が大切なのです」
そこでsou’s designでは、最高等級「断熱等級7」(UA値0.26)を標準仕様とするとともに、気密測定を全棟実施。地域密着型の設計会社であり工務店として施工精度を高めることで、ハイレベルな気密性能=C値を誇っている。


「気密性能が問われるC値とともに、熱が逃げてしまう換気への配慮も重要。当社は冷暖房時に冷気や暖気を逃がさない、熱交換換気システムも標準仕様としています」と貢社長。「換気での熱を再利用することが、環境に優しく快適な暮らしに直結する」と話す。

越前市モデルハウス「平屋の家」。UA値は0.23と、HEAT20 G3グレード(最高等級の断熱性能7相当)。C値も0.09を達成。家庭用エアコン1台で、部屋間の温度差が少なく全棟快適だ。



脱炭素な暮らしをはじめ、居住性や耐久性を左右する部材が断熱材。その断熱材選びは、「福井の気候風土を考慮しなくてはいけません」と貢社長。「福井は全国トップクラスの高湿度エリアであり、断熱材内部に結露が発生すると、住まいの耐久性を損なうとともに、アトピーなどアレルギーの原因になることもある」からだ。そこで、sou’s designが標準仕様としているのが「スーパーウォール工法」。結露など水分をシャットアウトする硬質ウレタンフォームを使用することで、壁内無結露を35年間保証してくれる優れものの断熱材を採用している。
太陽や風といった自然エネルギーを活用するパッシブデザインも、福井の気候を考慮したsou’s designの提案だ。「貴重な冬の太陽エネルギーを、大きな窓を通じて暖房として取り込み、快適で心地よい空間をつくる」と説明する。県産木材を60%以上使用した「地産地消の家づくり」を取り入れているのも、福井の気候風土に適した材料選びと脱炭素への配慮からだ。

大きな窓から自然エネルギーである太陽を暖房としてたっぷり取り入れた、パッシブデザインの住まい。高気密高断熱な住まいをベースに、開放的な空間が広がる。(越前市モデルハウス「soel ソエル」)

sou’s designの「福井スタイルの脱炭素住宅」は、越前市にある2棟のモデルハウス、「hiraya」と「soel ソエル」で体感できる。「平屋の家」はsou’s designの最新の標準仕様である、HEAT20 G3グレード(最高等級の断熱性能7)に対応。ZEHをベースに、太陽光発電でつくった電力を蓄電池や電気自動車に蓄える「創蓄連携システム」や、自宅外から遠隔操作できる「IoT(アイオーティー)」など、新しい住まい方や暮らし方も知ることができる。さらに、電気自動車のバッテリーから暮らしに必要な電力を送り込む「V2H」を搭載していることで、災害時の防災拠点としても機能する。
「2025年から、『グリーントランスフォーメーション(GX)志向型住宅』を対象にした補助金制度がスタートしており、当社の標準仕様の住まいは160万円※受付は終了※の補助対象となります。県産材住宅補助金(最大50万)など、高性能な住まい、福井ならではの住まいは、さまざまな補助金制度や優遇制度の活用が今後も期待できます」。福井スタイルの脱炭素住宅は、イニシャルコストをはじめ、省エネを実現するランニングコストを含め、家計にも優しい住まいなのだ。


ロフト付きの伸びやかなワンルーム空間が広がる「平屋の家」(写真左)。吹き抜け空間のある2階建て「soel」。

LDKと寝室が引き戸を通じてフラットにつながる、大きなワンルーム空間。(平屋の家)

LDKから最短で、洗面・ランドリー・サンルームへ。「暮らしがラクになる」家事動線。(平屋の家)

LDKから階段を上がると、小屋裏空間へ。収納や趣味スペースなどに活用できる。(平屋の家)
南越前町今庄115-1-2
0778-45-1999
